NISM コラム
お金にまつわるつぶやき
Vol. 26 小西文書暴露の政治的意図と背景は単純でバカげている!
投稿日:2023.03.09
現在参議院予算委員会とマスコミは「小西文書」の件で、鬼(高市早苗大臣)の首を獲ったかの勢いで盛り上がっています。しかしその政治的意図と背景はかなり単純なコトです。
いわゆる「小西文書」が行政文書(=公文書)であるのかどうかといえば行政文書であると総務省も認めました。ただし行政文書でも「メモ」レベルであれば、不正確なものや事実を誤認したものも存在するので、総務省としても「記載内容の正確性が確認できないもの、作成の経緯が判明しないものがある」としています。
高市早苗大臣が言う様にこれら合計78枚の文書すべてが、不正確なのか捏造なのか実証するすべはないのですが、表紙・目次とも言える最初の3枚については「杜撰」な文書であるといえます。まず「厳重取扱注意」と書かれていますが、本来は「取扱厳重注意」のはずで「役所のヒト」は絶対に間違えないはずです。実際に1,2,3目だけが「厳重取扱注意」となっていますが、それ以降の6,9,14,26,28,30,35,38,58枚目では正しく「取扱厳重注意」となっています。また「取扱厳重注意」は赤字で赤い囲いがありますが、1枚目は黒字の黒囲いで、38目は赤字ですが赤囲いが何故か二重囲いになっています。
あとはキリがないのですが、大臣とのヤリトリなのに配布先に事務次官とか大臣秘書官が入っていないのは変です。つまりこの行政文書というかメモの事後確認がなされていないということで、文書(大臣発言)の「正確性」は担保されていないということになります。なぜならば、どんな議事録でも正式な文書化の前に本人確認をするはずです。
8年前の文書が今出てきた背景は明らかに総務省の内部抗争でしょう。こういった「取扱厳重注意」とある文書の開示時期や保存期間など日本は明確に定められていないので、公文書が暴露されたり、裁判記録が紛失(廃棄)されたり、政治抗争の道具に使われてしまいます。
総務省は旧郵政省、旧自治省(内務省)、旧行政管理庁が統合されてできた役所で、現在も内部は縦に3つに割れています。特に旧郵政省と旧自治省の争いは熾烈です。因みに配布先のトップは、旧郵政省のトップであった桜井審議官で、この文書は総務省全体で共有された「メモ」ではなく、旧郵政省グループの内部メモの外見です。
政治的な意図は明らかに4月に行われる2つの選挙に対する立憲民主党の自民党へ攻撃です。3月23日告示、4月9日投票の奈良県知事選には、自民党から高市氏が推薦する旧自治省出身の平木省氏が立候補しています。
また参院大分選挙区では、立憲民主党の安達澄氏が県知事選へ立候補のため、議員辞職しているので4月23日投票で補選が行われます。ちなみに安達氏は2019年の参院選で当時現職の磯崎陽輔氏を破って当選しているので、補選で自民党に議席を奪われたくない、特に旧自治省出身の磯崎氏には復活して欲しくないという思惑があります。
なぜ旧自治省出身の平木氏や磯崎氏を立憲民主党の小西洋之氏が攻撃するのかといえば、小西氏が旧郵政省出身だからです。つまり総務省内部の抗争と自民党と立憲民主党の対立が「利害」として一致しているので小西氏が総務省の旧郵政省グループに声を掛ければこの「機密文書」が簡単に手に入ったわけです。ということなので立憲民主党としては4月の2つの選挙で自民党に情報戦、印象戦術でダメージを与えればよいわけです。また小西議員を含む旧郵政省グループは旧自治省グループを攻撃できれば良いわけです。行政文書の正確性はどうでも良いわけです。更に自民党内部でも「非安倍派」は、旧郵政省グループ対旧自治省グループという総務省の内部抗争には誰も巻き込まれたくなので誰も援護はしないのです。まぁ、高市氏も総務相時代に「巻き込まれたくない」と注意をしていたと思いますが…。