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NISM コラム

お金にまつわるつぶやき

Vol. 32 脱炭素がもたらす世界

投稿日:2023.09.07

 地球温暖化は確かに進行していて、過去150年間に日本の平均気温は摂氏約1度上昇しています。また空気中の二酸化炭素の濃度もこの150年間に280PPMから410PPMに約1.5倍に上昇しています。しかしこれを以って地球温暖化の原因を二酸化炭素の排出一点に求めるのは合理的ではありません。二酸化炭素が1.5になっても気温は1度しか上昇していないからです。

 地球温暖化など異常気象の最大の原因は、地球の“砂漠化”が進行したためです。世界人口はこの150年間に15億人から80億人と5.3倍に増加しています。急速に膨れ上がった人口は都市に集中し、コンクリートに代表される都市化という名の砂漠化の進行の方が、遥かに影響が大きいと言えましょう。これには150年前にはほとんどなかったエアコンや自動車の排出する熱も含まれます。

 先進国は地球温暖化の犯人捜しをしたがります。数年前まで二酸化炭素が大気中のオゾン層を破壊し、それが原因だと言っていましたが、現在はオゾン層が回復していることが証明されたので、今度は二酸化炭素を温室効果ガスと呼んでいます。どうしても二酸化炭素を犯人にしたいようですが、科学的には未だ証明されていません。

 さて、脱酸素ということでG7など西側先進国は、2030年までに二酸化炭素の排出量を半分に、2050年までにゼロにすると宣言しています。しかし問題点が3つあります。

 ひとつ目の問題は、二酸化炭素排出をゼロにするための技術が確立していないということです。あるいはゼロを維持するために莫大な経費が掛かるということです。再生可能エネルギーによる発電コストは、LPG火力や原子力に比べて約2-3倍ですので、先ず製造業としては立ち行きません。G7以外の国へ製造拠点を移すことによる産業空洞化を招きます。

また再生可能エネルギーを支援する再生エネルギー賦課金の総額が2.4兆円なので、直接・間接を合わせて国民一人あたり年間2万円をすでに負担させられているのです。これによって削減される二酸化炭素は約2.4%です。つまり1%=1兆円というコストです。2050年にゼロが達成されれば、家計負担が毎年100兆円です。

 ふたつ目の問題は、欧米の国では自国のゼロを達成するために二酸化炭素の排出を他国に輸出していることです。欧米には石炭、石油、天然ガス、シェールガスなど天然資源が豊富に埋蔵されていますが、それを採掘するためには二酸化炭素を大量に排出しなければなりません。そのため特にドイツやイタリアは、ロシアの天然ガスを選択したのです。ロシアが安心してウクライナへ侵攻したのは、このためです。ロシアの天然ガスや石油の輸出先は中国などいくらでもありますので西側の経済制裁は意味がないどころか、石油価格が上昇してロシアを経済的に利する結果になっています。

 みっつ目の問題は、脱酸素による電気化が誰に恩恵をもたらすかです。電気を一時的に貯えるバッテリーには、コバルトやネオジムなどレアアースが必要です。アメリカなど先進国にも豊富に埋蔵されているのですが、公害規制が厳しくて採算の合う採掘ができません。結果としてコバルトの6割、ネオジウムの9割を中国に依存しているのが現状です。この状況は今後最低5年間変わらないと言われています。

 結論を言えば、脱炭素は先進国・民主主義国の自己満足でしかなく。民主主義国v.s.独裁主義国という対立の構図の中では、非民主主義国が中長期的に優位という構図が見えます。西側先進国は、脱「脱炭素」に舵を切るか、技術革新が追い付くまでモラトリアムを決めないと、ロシア・中国・OPECの植民地になるでしょう。

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