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NISM コラム

お金にまつわるつぶやき

大きい政府?小さい政府?目指すのはどっち?

投稿日:2024.12.27

 石破自民党総裁が誕生し、石破内閣が誕生したのが10月1日でしたが、10月9日には衆議院を解散しました。そして10月27日に行われた衆議院総選挙で自民党が第1党となり、再び総理大臣に就任しました。最初に首班指名を受けてから早3か月が過ぎようとしていますが、この内閣はどこに向かって進んでいるのか、停滞しているのか、あらぬ方向に逆行しているのかよく見えないというのが正直な感想です。つまり、大きな政府を目指しているのか、小さな政府を目指しているのかハッキリしろ!ということです。

 10月27日の総選挙で自民党は大きく議席を減らし、自公連立でも過半数を割込んでいることも原因のひとつでしょう。比較第2党には立民が躍進し、比較第3党の維新は議席を減らしました。比較第4党の国民党が大躍進して議席数を28に伸ばしたことによって衆議院は混迷を極めることになったのです。自公合わせて議席数は215で過半数の233に対し18議席不足したため、国民党がキャスティングボードを握るようになったからです。

国民党が躍進した背景は、SNSなど利用し若い世代の有権者にアプローチできたことと、いわゆる103万円の壁を取り払い、それを178万円まで引き上げることで国民の所得を増やすという政策を掲げたことです。

過半数割れの自公与党は、首班指名、補正予算、税制大綱などで野党と「協力」しなければならなくなったのです。まずは国民党と103万円の壁をめぐり、幹事長レベルで178万円を目指すという合意を形成しましたが、税制大綱では123万円に尻つぼみ。

梯子を外された国民が怒りを露わにすると、自公は維新にすり寄る始末。維新の公約は「高校無償化」で、これを盾に自公に詰め寄っています。実はこの「103万円の壁」と「高校無償化」は、まったく方向性の違う政策です。

高校無償化という政策は、税金で高校の学費を支払うということなので、いわゆる「大きな政府」という政策です。ガソリン税然り、財務省はなるべく多くの税金を集め、それを分配することで、各省庁、地方政府、関連する特殊法人、民間企業に対してマウントを取ることができるだけでなく、バラマキ政策は多くの天下り先を作ることができます。霞が関は行政改革などせず、大きな政府を目指すというのは自然の摂理なのです。

他方、国民の「103万円の壁」を取り払うという政策には、財源が明示されていない無責任な政策と、”責任ある“与党として批判していますが、減税をするということは歳出を削減することであり、行政改革をすることです。つまり「小さな政府」を目指すという方針なのです。政府が小さくなって困る財務省を始めとする霞が関が、税収が不足するとか、地方財政が破綻するとか、行政サービスが低下するとか宣伝し、減税回避に向かって躍起になって画策しています。

しかし実際に日本の税収は4年連続上振れして、2024年度は繰越金が11兆円を超えているのです。その上で補正予算として14兆円もお金を使うのです。103万円の壁を178万円まで引き上げても7-8兆円の話しです。国家公務員の身分は法律で守られ、国民の批判に晒されませんが、政治家は選挙によって選ばれています。そろそろ小さい政府にするのか、大きな政府にするのかという基本を掲げ、国民の預託によってお役所を経営できる政治家の出現が待ち望まれます。今の自民の税調は国民を見ずに財務省を向いているとしか思えないのです。

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