NISM コラム
お金にまつわるつぶやき
Vol. 31 処理水問題はGoToフクシマとふるさと納税で
投稿日:2023.08.27
なぜ科学的根拠を欠いた宣伝をし、水産物の禁輸処置などを行う国があるのか?これは宣戦布告のない「戦争」に突入しているということです。ボーダーレスの現在、戦争と平和という二元論だけで「戦争」を説明することは不可能です。
現代の「戦争」はハイブリッド戦争と呼ばれ、3つのフェーズに分けられます。
フェーズ1:サイバー攻撃・情報戦・プロパガンダ・政治的脅迫・経済制裁・テロなどです。
フェーズ2:軍事的脅迫ということになり、国境付近での軍事演習、ミサイル実験など直接的な軍事攻撃はないものの、軍事的圧力を掛けるという事です。
フェーズ3:正規軍による軍事的戦闘ということです。
戦争というとフェーズ3だけのように考えられますが、正規軍による実際の軍事的戦闘で確実に勝利するために事前のフェーズ1とフェーズ2は必須です。このように考えれば、現在日本の置かれている立場は、準戦時下といっても良いでしょう。
理由は2014年以降、同盟国のアメリカが中国と対立を始めたからです。フェーズ1では、サイバー攻撃や情報戦など現場を可視化しにくい戦争ですが、アメリカの対中経済制裁など攻撃とその経過・結果が良く見える戦争もあります。
2014年のロシアによるウクライナのクリミア併合では、10年以上の歳月をかけてロシアはクリミアでフェーズ1と2を仕掛け、ユーロマイダン革命のタイミングで一気に併合しました。ウクライナ東部ドンバス地方には、19世紀から20世紀にかけて炭鉱労働者としてロシアから300万人も移住しています。ここでも10年以上の歳月をかけ、情報戦を行ってロシア系移民を煽動し、内乱を起こし続けています。
このように実際の軍事衝突の前にはフェーズ1と2が時間を掛けて行われるものです。今回の処理水問題を針小棒大に宣伝し、水産物の輸入禁止などの経済制裁を行うことの目的は、日本国内に内乱を起こさせること以外のものではありません。
沖縄では長い年月をかけてフェーズ1を展開し、基地問題によって県民の分断を工作し続けています。尖閣漁船事件は2010年のことですから、彼此15年以上の歳月をかけて尖閣諸島に対しては、フェーズ2を仕掛けています。色々な意味で今年は正念場の年になりそうですが、ではどうすれば良いのか。
差し当っての水産物禁輸処置については、風評被害を払拭するためにも国内で余剰水産物を消費してしまうべきでしょう。もともと生魚を食べなかったヒトたちが近年貴重な水産資源を大量に買い漁っていただけです。
政府はGoTo福島キャンペーンを行い、国民が福島を訪れるようにするべきでしょう。また、特に農産物・水産物に関しては、ふるさと納税制度の規制を緩和し、福島県民の財政・産業・生活をサポートするべきでしょう。
さらには観光旅行について国別の規制もするべきでしょう。マナーの悪い観光客はオーバーツーリズムの元凶でもあったわけですから。経済制裁には経済で対抗し、国内が分断されることがないように政府は舵取りをするべきです。首相が処理水をコップに1杯飲めば一番良いのですけどね。