NISM コラム
お金にまつわるつぶやき
Vol. 12 何も決められない岸田内閣
投稿日:2022.09.09
早速検討します、緊張感を持って見守ります、丁寧に説明します?結局なにも決められず、発信もできない岸田内閣
コロナ対策も、外交も、国葬儀、円高対策も、決定を先延ばしにした上で、政策が二転三転し、言葉に重みや説得力を欠いています。リーダーに求められるのは「決意・決定」であることは古今東西論を待たないのですが、もっと重要なことは「いつ決めるか」というタイミングだと思います。リーダーも人間なので間違えることはあるでしょう、しかし間違いを犯した場合速やかに訂正できるタイミングで「決意・決定」を下すことが大事だと思います。
国葬儀に関しては閣議決定事項ということ、安部元首相の外交面での功績からこれが外交的に如何に重要であるか、そして第二次大戦後この平和な時代に暗殺されたこと。特に後者は民主主義の根幹を揺るがす、選挙演説中であったこと、これだけを早々に重みのある言葉で説明していれば、野党やマスコミが故意に国葬儀を国葬と言い換えての「反対キャンペーン」には至らなかったと思います。
そもそも安倍元首相の外交面での実績は、旧民主党の失策の尻ぬぐいから始まっています。すなわち2010年9月7日に尖閣諸島で領海侵犯を犯した中国漁船が海上保安庁巡視船に体当たり。しかし当時の民主党政権は、船長ほか船員を裁かないまま中国に送還してしまった事件です。南の守りを固めるため、北の守りが手薄になることを想定し、ロシアと戦略的友好関係を結びました。これが契機となり安倍元首相―プーチンラインができ、安部元首相がウクライナ戦争終結の鍵を握ることになりました。桜の会はともかく、安部元首相の暗殺は全世界にとって大きな損失と言わざるを得ません。
さてウクライナ戦争は、ロシアと西欧の暴力による資源分取り合戦です。この紛争の勝者はアメリカです。アメリカが仕掛けた罠=マイダン革命、化学・生物兵器研究所にロシアがハマっただけなので、食料・エネルギーなどすべての資源を自給自足できるアメリカのひとり勝ちは火を見るより明らかです。
ウクライナ戦争が始まると、世界各国が景気・経済の下支えとして0金利政策を続けている中で、アメリカは先陣を切って政策金利を引き上げました。各国とも自国の経済が健全でなければ金利引上げは難しい状況下で、アメリカは戦時・戦後景気を見越しての金利引上げです。一時的に失業率が上がっても中期的にはアメリカに「富」が集中するという見通しでしょう。
円と米ドルのレートは、アメリカの金利引き上げの半年前から円安・ドル高です。市場はあたかも半年後の金利引き上げを予知していたかのようです。鈴木財務相は、「必要な場合には適切に対応」という発言を繰り返していましたが、2022年7月の日米財務相会談で、「政府による為替の介入はするな」と却下されました。
そしてズルズルと時は過ぎ、9月になって円安・ドル高が更に進行する中、「緊張感を持って見守る」、(円安が)「継続なら必要な対応」、「動きが急激だ、憂慮している」、「どういう対応をとるかはコメントしない」と、ほとんど意味不明のコメント。
そうこうしている内に、欧州中央銀行は政策金利を0.75%と大幅に引き上げることを決定しました。これは景気後退リスクを覚悟の上で、インフレを抑えることが目的です。もちろん米ドルのひとり勝ちですから、ユーロなど欧州通貨も軒並み対ドルレートは大幅に下がっています。これまで円-ユーロレートは比較的安定していましたが、このままでは円だけがひとり負けになってしまいます。
食料やエネルギーなど多くの資源を輸入に頼っている日本がG7の中で最も大きなダメージを負うことになります。小手先の対処療法ではなく、例えば「日銀総裁更迭=0金利政策転換」など中長期的にこの国のためになるような政策を、適切なタイミングで決定して欲しいものです。そう言えば第三次岸田内閣で創設された「経済安全保障」担当大臣は何かしていますか?