NISM コラム
お金にまつわるつぶやき
Vol. 14 外国為替平衡操作…政府・日銀による外国為替市場介入
投稿日:2022.09.27
財務大臣が半年も前から「やるやる」といって「やらなかった」市場介入を9月22日に行いました。介入直後に「断固たる処置を取った」と財務官が「ドヤ顔」で会見しました。
ドル売り・円買いの為替介入は、1997年のアジア通貨危機のあと1998年4月に急激な円安が進んだために行って以来24年振りとのこと。1998年はバブル景気の後始末とも言える金融危機が発生し、北海道拓殖銀行が破綻、日本長期信用銀行が破綻し・国有化され、日本債券信用銀行が国有化されています。そして9月に日銀が政策金利を引き下げたため、今度は反対に円高が進行してしまい、1999年には、円売り・ドル買いという逆の為替介入をしています。
その後、2001年9月アメリカ同時多発テロのあと円が高騰し、円売り・ドル買いの介入をしました。2011年3月の東日本大震災を経て、政府・日銀は一貫して円売り・ドル+ユーロ買いの為替介入を行ってきました。今回の為替介入の直前は2011年で、この年は複数回の介入を行っていて、総額は14兆円規模にものぼっています。ちなみにこの年の為替相場はザックリと1ドル80円程度でした。
そして今回9月22日のドル売り・円買いの為替介入になりますが、相場は1ドル約145円でした。介入規模は週明けに明らかになり3兆円とのことですから、およそ200億ドルで3兆円を買ったということになるのでしょうか。その前に「買った」ドルは1ドル80円ですから、200億ドルは約1.6兆円ということになります。1.4兆円の為替差益?とはいえないでしょうかねぇ。政府・日銀による為替介入は、その直後に巨大な為替差損を生みますが、長期的にみれば「常に逆張り?」「ナンピン買い?」をしているようなものなので最終的には利益が出ているとも見えます。
為替介入した夜に財務大臣は会見をし「過度な変動が繰り返されるのは決して見過ごすことはできない」と、介入の意義を語っていましたが、直前に日銀が「金融緩和継続」を発表し、円相場が一段と下がったところでの介入でした。その後日銀総裁も今回の為替介入について「必要で適切」と語っていますが、政府・日銀の「無策」を少しだけ糊塗したことにはなっています。
他方、イタリアではポピュリズム政権が誕生し、対ロシア制裁に関して欧州の足並みが乱れるのではないかという懸念が広がり、ユーロが20年振りに1ドル・1ユーロを割込んでいます。今回のロシアによるウクライナ侵攻が収束しても、この紛争によって欧州や日本が資源を持たないということが露わになった以上、紛争前の状況には戻らないでしょう。